年をとると髪の毛が薄くなる仕組み

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年をとると毛が薄くなる仕組み

年をとると、なぜ髪の毛が薄くなるのか?
その仕組みを、東京医科歯科大学の西村栄美教授らの研究チームが初めて解明し、米科学誌『サイエンス』(2016年2月5日付)に発表しました。

 

目次
  1. 年をとると、なぜ髪の毛が薄くなる?
  2. 年をとると、なぜ毛包がミニチュア化する?
  3. まとめ

 

年をとると、なぜ髪の毛が薄くなる?

年をとると髪の毛が薄くなるのは、「毛包幹細胞」の働きが衰え、毛包が次第に縮小して消失するためだと分かりました。

 

毛包というのは、毛根を包み込んでいる毛穴の器官ですから、「年をとると、毛穴が次第に消えていく」と言い換えると分かりやすいかもしれません。

 

毛包が縮小(ミニチュア化)すると、太く長い毛に成長できなくなります。細く短い、弱々しい毛が増えます。さらに進んで毛包が消滅すると、毛は生えてきません。

 

このように、毛包のミニチュア化と消失が、加齢による薄毛の原因です。

 

「毛包のミニチュア化」は、これまで男性型脱毛症(AGA)に特徴的な変化であると考えられてきました。

 

この研究で、「毛包のミニチュア化」が、AGAに限らず「加齢にともなう変化として、男女ともに進行する」ことが分かったのです。

 

年をとると、なぜ毛包がミニチュア化する?

それでは、年をとると、なぜ毛包がミニチュア化するのでしょうか?

 

研究結果に基づきながら見てみましょう。

知っておきたい言葉

おさえておきたい言葉は、「幹細胞」「毛包幹細胞」「17型コラーゲン」の3つです。

 

幹細胞

「幹細胞」は、未分化な状態でさらに自らを作り出す「自己複製能」と、分化した細胞を作り出す「分化能」をあわせ持つ細胞です。新型万能細胞(iPS細胞)は、人工の幹細胞です。

 

毛包幹細胞

「毛包幹細胞」は、未分化性を維持したまま自己複製するとともに、毛を生み出す細胞を作り出す細胞です。

 

17型コラーゲン

「17型コラーゲン」は、毛包幹細胞で産生されます。「17型コラーゲン」がなくなると、毛包幹細胞は未分化性を維持できず、分化してしまいます。そうなると、毛包幹細胞自身が枯渇してしまい、毛を作り出す細胞を増やせなくなります。

 

加齢により「17型コラーゲン」が減少し、毛包が小さくなる

年をとると毛包がミニチュア化するのは、加齢により「17型コラーゲン」が分解され減少するためだということを、研究チームが突き止めました。

 

「17型コラーゲン」は、毛包幹細胞でのみ産生されるコラーゲンで、毛包幹細胞の自己複製に欠かせません。「17型コラーゲン」が減少すると、毛包幹細胞は自己複製できず分化してしまいます。

 

若いうちは、毛包幹細胞は、自己複製を繰り返し、毛を生み出す細胞を作り出し続けます。

 

ところが老化が進むと、「17型コラーゲン」を分解する酵素が多く出るようになり、「17型コラーゲン」が減少します。すると、毛包幹細胞は自己複製できなくなります。

 

自己複製できなくなった毛包幹細胞は、表皮の角化細胞に分化してしまうことが分かりました。

 

角化細胞というのは、皮膚細胞です。皮膚細胞はターンオーバーによって、最後はフケ・垢として皮膚から剥がれ落ちてしまいます。幹細胞としての機能を果たせなくなった毛包幹細胞は、このような運命をたどることが解明されたのです。

 

毛包幹細胞が消失すると、毛包を再生・維持することができなくなり、毛包は徐々に小さくなり、最後は消失してしまいます。

 

これが、加齢により、毛包がミニチュア化し、消失してしまう仕組みです。

 

加齢による薄毛を防ぐには、「17型コラーゲン」の分解を防ぐ物質を探し出せば良いわけです。

 

西村栄美教授は「コラーゲンがなくなるのを抑え、脱毛を防ぐ治療薬を5〜10年で開発したい」と話しています。

 

まとめ

「年をとると、髪の毛が薄くなる仕組み」について、まとめておきます。

 

  1. 年をとると、「17型コラーゲン」を分解する酵素が多く出るようになり、「17型コラーゲン」が減少する。
  2. 「17型コラーゲン」が減少すると、毛包幹細胞が自己複製できなくなり、表皮の角化細胞に分化する。表皮の角化細胞は、最後はフケ・垢となって剥がれ落ちる。
  3. 毛包幹細胞が消失するため、毛包が再生できなくなる。
  4. 毛包が次第に縮小(ミニチュア化)し、消失する。
  5. 毛が細く短くなり、脱毛する。

 

AGAには特別の対策が必要

加齢による薄毛・脱毛は、AGA(男性型脱毛症)のように急激に進行するものではありません。

 

AGAは、比較的若いころから発症し、進行しやすいので、特別の対策が必要です。

 

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